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「渦流の国の少女・スラブタルフィーギの襲撃」(6)

「手足を使う操作系はこいつにはないのか?」

フェイクスは、しつこく聞いてくるスナフを無視し続けていたが、仕方なく説明する。それでスナフを黙らせようとした。

「このキグルミは俺たち渦流魂のヒトにしか動かせない」

そう言いながら、フェイクスは自分の身体、フィギュアの腹部から、人魂のような渦流魂を引き出して見せた。引き出した渦流魂からフィギュアの腹部へワイヤー状のものがまだ繋がっているのでフェイクスのフィギュアも動いたままだ。

「この渦流魂が俺の本体。でもこのままじゃ生きていくのに不都合だから渦流魂の器であるフィギュアが必要になる。俺らが乗っているこのキグルミはいわばフィギュアの大型版だ。渦流魂の器であることは代わりはない。でもこれだけ大きいと一人の渦流魂では普通動かせない。特別な訓練を積めば可能らしいが、少なくとも三人の渦流魂が必要らしい。渦流魂の元々の生命力は弱いからブースターっていうエネルギーの増幅装置も使ったとしても、だ。簡単に言えばそういうことなんだが…わかるか?」

「何となくだけど、君らのなかでは『魂』は目に見えるものなのか?」

「そういう話になると面倒なことになるから、深入りしないが、渦流魂が人魂に似ているから便宜上『魂』という言葉を使ってるだけだ。曖昧な概念じゃなくて物理的に存在する生き物なんだよ」

「あたしの渦流魂の七割はそこのあたしのフィギュアを抜けてこのキグルミ全体に渦流を行き渡らせてる。それでフィギュアのように動かそうとしてる。確かにフィギュアの手を使っての補助的な操作系統は必要なんだけれど、これだけ巨大なものを機械仕掛けで動かせるようにする技術は今のあたしたちにはない」

コックピット全体で反響する元素子の声もスナフの問いに答える。なるべく言うことを聞いてもらうのならこちらの素性は教えなければならないと思ったからだ。

「で、あのカカシは君ら渦流魂の命を奪うものなんだな?」

スナフの質問は矢継ぎばやに続くが、元素子がそれをいったん遮った。

「フェイクス、ガゼル教官たち前衛部隊が墓標ベースまで向かってくれている。こっちは安全圏まで戻るわ。もうちょっとだけ協力して」

前衛部隊のキグルミがジャンプを繰り返しながら墓標ベースまで向かっていき、それに気づいたカカシも前衛部隊を追随するのがフェイクスが見ていたモニターでも確認できた。今なら敵はこちらにはまず向かっては来ない。

「そうだな、そうしよう」

元素子たちのキグルミがゆっくりと後退するなか、スナフの問いに答える。

「カカシは『端末』と同じくあたしたち渦流魂を狙うらしい。でもカカシは墓標ベースに埋葬されてる渦流魂を直接狙ってる」

「墓標ベース?」

「死んで意識を失った渦流魂のお墓。と同時に燃料になる渦流魂の貯蔵庫」

「魂が燃料になるのか?」

「死んだ渦流魂はあたしたちの生活に必要な様々なエネルギー源になる」

「それって、死んだ仲間を燃料にするってことだろう?」

「あたしだってそれは受け入れ難かった。でもあたしたち渦流魂にとっての必要な生命循環なのよ」

「俺たちはカカシに似た、というよりカカシの本物である『端末』に渦流魂を狩られる。狩られた渦流魂はどこに存在するのか分からない『渦源流』へ運ばれ吸収されて、新たな幼い渦流魂が生み出される、と言われてる。渦源流を見た奴は一人もいないがそういう言い伝えがある。しかし、『端末』は定期的に襲ってくるし、生まれたばかりの渦流魂の群を発見することは現実にある。ってことはそのライフサイクルも現に存在するらしいってことだ。だけど、俺たちはそのサイクルから逃れられないけれど、簡単に狩られるわけにはいかない。己の人生を生きる権利をそう簡単に奴らに奪われるわけにはいかない」

フェイクスが補足で説明した。フェイクスなりの信念も入ってるらしかった。

「だから、渦源流と端末に対抗するためにフィギュアがあるし、戦うためには死んだ仲間の協力が必要になる。例えそれが燃料の形としてだったとしても」

元素子は続けた。

「死んだ魂が自分たちの役に立ってくれている。それをあのカカシのような奴らに、横取りされるのは悔しいな」

元素子の、彼女なりの納得の仕方でもあるようだった。

スナフがこのことをどれだけ理解したのか、確かめるようにフェイクスも、元素子も自分のフィギュアの顔をスナフの方を向けて、じっと見ていた。

スナフは黙ったままで、ずっと考え込んでいた。


「ノース・ノキユとハルモ・ルニーだ。あいつら、一緒だったのか」

フェイクスはモニターに自分と同じドーム生徒会の仲間を見つけていた。

ドーム・コミュの出来て間もないテラスの一部を残し粉々に崩され、ドーム内部への入り口も瓦礫で閉ざされてしまってノース・ノキユとハルモ・ルニーの少女二人はそこから身動きが取れない。

二人のいるテラス部分もいつ崩れるか分からない。

「しまったあ。フィギュア替えるんじゃなかった。まだ着なれてない…」

とハルモ・ルニーが溜息をつけば、

「あなた、またフィギュア替えたの?一瞬、誰だか分からなかったわ」

とノース・ノキユが呆れ顔で言う。

自分にしがみついてくるハルモをノキユは引き剥がしたかったが、そういうわけにもいかない。

「その様子じゃ、渦流噴射は使えなさそうね。この高度から落ちても命の危険はなさそうだけれど、フィギュアは持たないかもしれないわね」

「のきゆんはいつも冷静だね」

「いや、そういうことではなくて…」

「あ、あのキグルミこっち向いた。おーい」

「あ、あのね、ハルモ・ルニーさん?」

大きく手を振るハルモを支えるだけでノース・ノキユは精一杯だった。
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でアニメ感想系まがいのことをやっていますが、こちらはオリジナル創作漫画、小説の発表用のブログです(時間がないときや事情によってはアイデア、プロットレベルのものを提示するのみ、になってしまうかもしれません)。
その他総合的なプロフィールはhttp://www.geocities.jp/tobofu/
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