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「渦流の国の少女・スラブタルフィーギの襲撃」(3)

「えっ」

スナフはつい声を出してしまった。

これで普通に会話ができる、と九重は思った。

「大丈夫、これはもう爆発はしない。しかし、君の体内に入ったままだったらいつ爆発してもおかしくなかった」

「…ハッカーニは、あいつはどうなった!?」

スナフは取り乱し、ベッドから起きあがろうとした。右腕の点滴の管が外れた。九重は慌ててスナフを押さえ込もうとしたがスナフは九重の腕を引っ張って彼女の顔を自分の顔の近くに引き寄せた。

「ハッカーニがどうなったか、聞いてるんだ」

九重はもちろん、スナフと一緒に収容したもう一人の遺体のことは知っていた。知ってはいたのだが、むしろスナフが自分のことより仲間のことを気にかける切迫さ加減に驚いていた。

「あ…ああ、残念だが彼は、あの状態では救えなかった。我々と違ってな、身体、フィギュアを交換するというわけにはいかなくてな…」

「そういうことじゃない、助からないのは分かってる。あいつに会ってちゃんと弔ってやりたいんだ」

スナフがしつこく食ってかかってきたので、九重は思わず身を引く形になる。これではどちらが尋問されているのか分からない。

「わ、分かった。すまなかったな。君の気持ちも気にかけず一方的だったのは謝る」

「今すぐだ、いいな」

そう言いながらスナフはよろけながらベッドから立ち上がろうとした。仲間の場所も教えてはいないのに、仲間の元に向かおうとする。

爆弾の摘出手術をして3日足らずだというのに、何という気力。いや、回復力か?

他の星国の医師による執刀だったのだが、全快まで数ヶ月だろうと聞かされていた。

これが本当のあの、「人間」なのか?

九重だけでなく、誰も太古の書物でしか「人間」という存在を知らないから、確かめようがない。本当はそのことをこの少年に確かめたかった。さらに埋め込まれた爆弾のことも。


「分かったから落ち着け。無理はするな。案内してやる」

九重がスナフに肩を貸しながら病室を出ると、部屋の外で見張っていた警備兵に咎められたが、自分だけでいいと断った。

ハッカーニと呼ばれた少年の遺体が安置所に収容されたことは九重にも聞かされていた。すでに調査部による検死も済んでいるはずだった。存在が存在だけに、正式な報告はなされておらず、このことを知るのは一部の者たちだけだ。

しかし。

安置所にハッカーニの遺体はなかった。

「やっぱり…騙したな」

フード付きの衣服をかぶり、なるべく「フィギュア」であることを隠してここへ連れてこられたスナフは九重に問いつめた。

九重はスナフの言葉を聞きながらも、スナフの方にはふり向かず黙ったままだ。

「なあ、どうなんだよ?」

スナフは九重の前に回り込み、肩をつかんで九重と目を合わせようとする。

「そうか、まさか、そういうことか!来い、こっちだ」

スナフに肩をつかまれた九重は逆にスナフの腕を掴み、引っ張って別の場所へ向かう。

「そうだよな、誰もが知りたいことだからな」

九重の独り言だった。
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でアニメ感想系まがいのことをやっていますが、こちらはオリジナル創作漫画、小説の発表用のブログです(時間がないときや事情によってはアイデア、プロットレベルのものを提示するのみ、になってしまうかもしれません)。
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