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「渦流の国の少女・ヒトノカタチ編」 第一部「カルネアデス・スパイラル」1

うづるが去って数日後。元素子はスカラ・テングのフィギュア工房に一時的に保護されていた。

「足を直してくれたことは感謝してますけど、あたしここにいていいんですか? 『端末』に襲われますよ、この家。あたしの渦流魂また狙ってくる。『端末』が寄り付かない結界でも張ってるんですか」
元素子はスカラにまだ気を許してはいなかった。

「そのときはここからお前を放り出す」
元素子がそんな態度を続ければスカラもこう返すしかない。

「うづるさんでしょ?」
「うづるさんをまた釣るための餌にしようとしてますよね、あたしを。でも確率から言って…」
元素子としては、核心を突いたつもりだった。

「ごたくはいいから、あのフィギュアに着替えておけ、家族の渦流魂三つも抱えてるんだろう?その体のままじゃ負担が大きすぎて長くは持たんぞ」

「…え」

元素子は一体のフィギュアがソファに座らされているようにして置かれているのに初めて気付く。元素子からはスカラの体に隠れて見えなかったのだ。テーブルを離れてソファに近づき、自分と同じ姿のフィギュアを見る。
いつのまに。昨日仕事場に入れてくれなかったのはこのためだったのか。

「その体よりは多少強化してある。どうだ、そこまでしてやってるんだ、何も言えまい?」
スカラはしてやったり、という顔をした。

逆に元素子は悔しそうな顔をする。

元素子は、新しいフィギュアに着替え、こっちが聞いてもいないのに機能説明をするスカラの話を我慢して聞いた。
『スペックをよく理解して、早く新しい体に慣れろ。そうすれば生き残れる確率もより高くなる』
嫌々聞きながらも、元素子は新しいフィギュアの身の軽さに密かに感動した。

「よくしてもらってることに文句はないけど…なんかしゃくだな…」
自分でもかなりの高待遇だと思う。ただその理由が気に入らない。スカラは決して口を割らないが、またうづるさんに会いたいはずなのだ。そのためには自分の高純度の渦流魂がいい餌になる。しかし、それは同時に、「端末」をもこの工房に引き付けてしまうことでもある。

元素子は単純にスカラを嫌っているわけではない。スカラの気持ちを理解していた。自分だってまたうづるに会ってみたいとも思っている。しかし、自分の存在はスカラを危険な目に遭わせてしまう可能性もあったから、だからこそ、自分はここにいていいのかという気にさせるのだ。

新しいフィギュアをもらった夜、元素子はこの機を逃すわけにはいかないと思った。
悪いと感じつつ、仕事場から自分が必要なものを適当にくすねて、スカラの工房を出た。

「ごめんなさいね、スカラさん、うづるさんみたいに強かったら、あたし、ここにいてもよかったんだけどね」

行き先のあてはなかった。ただ、強くなりたいとは思った。
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テーマ : 創作・オリジナル
ジャンル : アニメ・コミック

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でアニメ感想系まがいのことをやっていますが、こちらはオリジナル創作漫画、小説の発表用のブログです(時間がないときや事情によってはアイデア、プロットレベルのものを提示するのみ、になってしまうかもしれません)。
その他総合的なプロフィールはhttp://www.geocities.jp/tobofu/
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