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「渦流の国の少女・ヒトノカタチ編」 インターバル(2)

外で車が止まる音がした。
時間から考えていつもの異星人ネットワークの宅配サービスが来たのだと元素子は思った。

暇つぶしに読んでいた本を工房地下倉庫の書架に戻すと、荷物を受け取りに工房の外に出た。

工房の目の前に止まっていたミニバンにはタイヤがなく、底に六つの渦流魂があり、それが動力らしかった。
つまり、「端末」の底で回転する渦流魂と同じ仕組みらしかった。


最初に元素子がそれを見たとき、同じ技術を使っているということは、
「端末」も実は異星人によるヒト狩りの装置ではないのか、といぶかしんだものだったが、
そうであったら、無償ではないとはいえ、スカラのようなフィギュア商売も成り立つはずはないと思い、
おそらくそうではないだろうと考えた。

とはいうものの、意識の無くなった渦流魂を、動力源として使うことに怒りを覚えた。
ただ、そんな元素子も家族の渦流魂をフィギュア内に取り込み、生命力の援助を得ているのだから、
それは「家族愛」だから、という言い訳は許されるはずはなかった。

元素子自身、そう自覚し始めてから、怒りが収まっていった。
と同時に、そのことに慣れてしまって、無自覚になってしまったことにある種の切なさを感じていた。


死んだ渦流魂、意識の無くなったヒトの渦流魂は、フィギュア内の増幅器、ブースターと同じ原理で
動力源として再利用することが出来た。

事実としてそうであれば、「端末」が渦流魂を回収し、「渦源流」に持ち帰ることで、
新たな渦流魂の元となるという言い伝えも、多少真実味を帯びた話とも思えた。

ともかく、今では宅配サービスの車を見ても、元素子は何とも思わなくなっていた。



宅配サービスの、人型をしているが、細長いタコのような頭のドライバーから元素子は事務的に荷物を受け取ると、ドライバーはよく聞き取れない言葉を発して車を発進させ、去っていった。それが元素子にも分かるような、たとえば「ありがとーございましたー」等の挨拶を極端に略した言い方だったのか、異星語だったのか、まったく分からなかった。

荷物の中身は今回はフィギュア部品の追加パーツと、いつもの仕出し弁当と、
元素子が自分で食事を作ろうと思い立って、スカラに頼んで注文してもらった食材だった。

当初、食べさせてもらっていた仕出し弁当があまりに不味かったのだ。スカラは、

「贅沢言うな。味なんて関係ない。飯なんて燃料みたいなもんだ」

フィギュアの体でもないあんたが言うな。

と、つい元素子は突っ込みそうになったのだが、それがやぶへびとなり不毛な口ゲンカループになる面倒事も
この短い期間でさんざん経験済みなのでぐっとこらえた。

それでも、口ゲンカになってしまうこともよくあるのだが、もちろん本気ではなく、
そういう形の、二人なりのコミュニケーションの仕方だった。


話を戻せば、そんなスカラは当然料理なんかしない。

しばらく我慢してつき合っていた元素子は、あるとき弁当のトレイのラベルに食材は地球産であることを発見し
(それが偽造である可能性もあったのだが)、これは味付けを異星人向けに合わせたものなのではないかと気づき、食材を直接買って、自分の分は自分で料理することにしたのである。

幸い、元素子は生まれ育ったコミュで多少厨房見習いのような経験もあったから、腕に覚えはあった。

元素子は荷物の中身を納品書と照らし合わせて確認すると、工房の中へ入っていった。
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その他総合的なプロフィールはhttp://www.geocities.jp/tobofu/
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