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「ヒタマ」 第三章「ヒタマの事情」(その5)

地球Aの星間ネットワーク網が広がってある程度定着した頃、元素子たちの地球Bの存在が観測された。

そして、地球Aが渦源流によって危機を迎えていた時期とほぼ似たような状態にあることが判明した。

その情報は瞬く間に星間ネットワークを伝わり、各異星の星々に伝わり、ネットワークのジャンプ機能によって多数の調査団が地球Bを訪れた。

地球Bの人類は、地球Aの歴史をなぞるかのように、自らフィギュアの身体の器で渦流魂を維持することをすでに始めていたが、滅びは目前だった。

各異星の星々は、地球Bの救済に全力をあげた。

その真意は、地球Bの渦源流の暴走がいかなる影響を与えるか、その被害の範囲がどこまで及ぶのか分からないからであって、単純に地球Bを救おうということではない。

地球Aでさえ渦源流による滅びを免れたのは、ほとんど奇跡に近いとしか言いようがなかったから、未だ、渦源流の確たる正体をつかめていなかった。

地球Bに異星の人々が常駐するようになり、世代を重ねるまで長い間、調査が続けられ、あらゆる仮説が立てられ、対策が練られた。

一番の問題は渦源流の現れ方が地球Aと地球Bでは微妙に違うらしい、ということだった。それにより地球Aでなされたようなすべての渦流魂を渦源流に投入することも出来なかった。

かつて地球A上でなされたことは確かな対策が練られた結果行われたことではなく、結果的にすべての渦流魂が狩られ、渦源流に吸収されて、そこで起こった偶然、奇跡によるものであり、それを地球Bの渦流魂のヒトびとに強制するわけにはいかなかった。

積極的に死ね、と言うことと同等であったから、地球Bのかれらもヒトである以上、反発してくるだろう。

かといって、地球Bをそのまま放置して、地球Aのような奇跡が起こるとも限らない。

しかし、事実上お手上げであり、ほぼ放置に近い状態に地球Bはされ、あとは万が一の事態のために、各異星の部隊が地球B圏で待機し見守るしかなかったのである。

少しだけ運が良かったのは、地球Bの渦源流の急激な暴走が起こらずに数千年小康状態を保っていたことだ。

美緒たちの地球Cの人間の想像力からすれば、気の遠くなるような長い時間をかけてそれでも、研究と対策は細々と続けられた。

もともとは地球Aの渦源流崩壊時に派生したと思われる、「トフボフの渦流魂」と呼ばれたミニ渦源流ともいうべき存在を対象にした実験が行われもしたが、事態を好転させる要素はほとんど得られなかった。


そして、有効な解決策に繋がりうる重大な調査結果が、長年の努力の結果、もたらされることとなる。

地球Aと地球Bの間の星間ネットワークにある種のバイアスがかかっていることが発見されたのだ。


物理的に地球Aと地球Bの間にはかなりの距離があるはずだったのだが、渦流ネットワーク自体にバイアスがかかっており、距離があるように観測されていたことが分かった。

精査した結果、驚くべき事に、地球Aと地球Bは同一座標に存在することが判明したのである。

だとすれば、誰でも思いつくのは、地球Bは地球Aの過去世界か、平行世界の一つではないかということだ。

二つの地球の歴史の有り様を鑑みれば、素直に出てくる発想である。

過去世界だとすれば、長い間、地球Bにかなりの干渉をしており、地球Aの現在にも影響が出るはずだが、まったく変化がない。

ならば、平行世界の可能性が高くなる。

地球Aから地球Bへと渦流ネットワークを使って行くには相変わらず距離設定が必要であり、渦流ネットから測定された距離を通常航行はおろか、他の星のジャンプドライブ船で行っても少なくとも数百年の時間がかかると予測された。

実際にその距離の先に地球Bが果たして存在するのか。

渦流ネットワークのジャンプ機能を使わずに、地球Bへ行ってみることはかなりの危険を伴うため、どの星も実行せず、結局確かめようがない。

渦流ネットワーク上、地球Aと地球Bが同一座標に存在すると分かったのは、バイアスの偏向数値をずらしたからだ。

その数値を変更すると、距離は同じ数値のままで、地球Aにも地球Bにもたどり着くことが出来た。

さらに、最近になって、バイアス数値の変更でもう一つの地球が存在することが分かった。

それが美緒たちの住む地球、地球Cだった。


つまり、渦流ネットワークというインフラ媒体のバイアスの違いによって、少なくとも、三つの地球が存在することになった。

調査データが不十分なので、それも確かなこととは言えない。
それでも、バイアス変更により、三つの「現実の地球」にたどり着くのは確かだった。

それが、渦流自体の記憶や感情の蓄積からくるバイアスなのかどうかは予測の域を出ない。

渦流ネットワークを媒介して行き来出来る平行地球。

そんな理解が定着しつつあった。


美緒は職業柄、メディア・ミックスの違いに近いものかとも思ったが、素人どころか、地球Cの人間には誰も理解出来ない有り様なのかもしれなかった。

主に小説、アニメ(あるいは実写)、ゲーム、等々の表現メディア(媒体)の違いから来る根本的な差異。なるべく原作通りに作ってもどうしても出現してしまう差異。

メディア・ミックスはもともとは商売上の戦略だったのだが、今では一つの作品のメディアの違いによる拡散化は普通であり、オリジナルが存在しない他メディアの総体で一つの作品と捉えられるケースもあった。商業だけでなく同人も含めればその数は膨大になる。インターネットの発達と普及が、それに拍車をかけたといってもいいだろう。

逆に元素子にはメディア・ミックスの意味が分からない。


確たる情報が少ない状態での仮説に沿って何らかのアクションを起こすのは、非常に無謀な賭けではあったのだが、動かなければ奇跡は起こらない。

美緒自身、それは過去に経験したことだ。だからこそ臆せずにいられる。

たとえ真実から遠い仮説や解釈であろうとも、頼るものがそれらしかなければ推し進めるしかない。

美緒はいったん捨てようとしたメディア・ミックス的な理解で話を整理してみることにした。


メディア・ミックス的な関わりにある、地球、A、B、C。

それらは、C→B→Aと、過去現在未来と単純に時間軸で並んでいるわけではないが、物語的な解釈、いや、表現を考えれば、地球Bがオリジナル原作、Aが別メディアの未来編、Cがまた別メディアの過去編になる。

B→Aは人類が渦流魂という存在に変化した以降の地球だから、差異は比較的少ない。
しかし地球Cは、人類が、人間がまだ肉体のヒトの形を保っていた時代の地球だ。

地球AからBへの介入が上手くいかないのであれば、人間の渦流魂への変容のミッシングリンクの鍵が残されている地球Cに助けを求めるのは当然の成り行きだろう。


「すごい分かりやすい。どうしてそんなに分かるんですか」

元素子は感心していた。

「あなたが感心してどうするの」

美緒は元素子の頭を人差し指で軽く小突いた。

「あ、あたし、ただのお使いでしかないんです。自分で全部分かってるわけじゃないから…」


地球AとBは別メディアといっても、比較的近いメディアだろう。
しかし、地球CはAとBに比べてだいぶ異質なメディアだ(と断定するしかない)。

Cのメディア・リアリズムを持ってすれば、AとBが解決出来なかった問題を突破できるかもしれない。

では地球Cのメディア・リアリズムの具体的な方策とは何か。
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